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仏教解説

34 仏教とはなにか -後期仏教- ②

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 古来インドには呪術や密議がさかんであり、それはバラモン教やヒンドゥ教にかなり多く流入し混在しています。しかしブッダが説いた初期仏教はこれを明瞭に払拭(ふっしょく)し、つねに万人に開かれた知的要素に満ち、それは部派仏教にも継承されました。

 大乗仏教の先駆であるその運動が広汎な民衆に支援されはじめた当時、民衆の中には直接に現世の利益を求め、さらには救済をねがう傾向がありました。そしてそれをあえて厳しく排除した初期大乗の内部に、却(かえ)ってそれはインド土着の呪的活動と結びついて親しく近づき、やがて浸透していって、その勢いは加速されていきます。

 たとえば知をあらわすヴィドヤーにせよ、また直感知を示すプラジュニャー(般若)にせよ、ともにやがてそのまま呪的な性格を帯びるようになります。しかも大乗仏教の幅広い包容性は、それらをも次第にその中に吸収されていきます。

 大乗仏教が長く伝承されるうちに、その教義から独創性も新鮮さも失われて、やや停滞気味になります。やがては教義の魅力は相対的に弱体化し、それとともに、新しく採用された呪的諸活動が顕在化してきて、ついにはそれが独立して密教を形成します。

 密教の正式の呼称はサンスクリット語には存在せず、種々の名で呼ばれて、そのことはインドにおける密教のありかたを物語ります。ただし研究者はこれを純粋密教(純密:じゅんみつ)と名づけて、それまでの種々の呪的な諸要素には雑密(ぞうみつ)と称すようになり、明らかに区別されます。

 密教をあらわすサンスクリット語は次に記す通りです。①タントラ仏教、タントラの語はヒンドゥ教をふくめてインド一般に流布し、しかも起原も内容も性格も漠然としていて定義が難しいとされています。②マントラヤーナ(真言乗:しんごんじょう)と、③ヴィジュラヤーナ(金剛乗)とは、起原は不明で、定着も遅く、一部に偏ります。④サハジャヤーナ(倶生乗:ぐしょうじょう)や、⑤カーラチャクラヤーナ(時輪乗:じりんじょう)などは、後期のみとなります。これらのいずれも密教全体を代表したことはありません。

 密教の影響を受けつつ、後期大乗の中観・唯識の両派はやがて統合され、それとは別の流れの諸部派と並んで、インドの一部に栄えますが、イスラームの圧迫を真正面から受けて、チベットに移行します。また七世紀に密教の根本聖典(「大日経」と「金剛頂経」)が成立してまもなく盛唐に伝来し、これらを依拠とする真言宗は、時を隔てずして、空海(お大師様)によって日本に伝わります。

 また諸宗派からなる日本仏教の大半は、その基本教理や実践とは別に、密教をなんらかの形で混入して今日に及びます。*

*三枝充悳著 「仏教入門」
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