仏教解説

31 仏教とはなにか -中期仏教- ⑦

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 神格化には、その他に、たとえば三十二相(後には八十種好も加わる)として、頭に小さな螺旋状の髪(螺髪:らほつ)、金色の身体、指のあいだの水かき、その他が考案されます。また仏のみの十八不共仏法(じゅうはちふぐうぶっぽう:不共は共通の不定で、仏だけの意味)は十力(じゅうりき)や大悲をふくみます。

 以上色々でてまいりましたが、これらは想像力豊かで斬新な文学者たちの仏教への参加によって、文学的効果を第一義としてかなり自由に構想され、創作されたと推定されます。それらが必ずしも仏教の教義に制約されず、むしろ教義を広げてゆこうとするところは、いわばアマチュアに近いことによって却って成功しました。しかし同時に、いったんこれらの型と枠とが決められると、ほとんどそれに固定して、同類の物語や作品の反復が目立つようになります。

 ともあれ、讃仏と仏伝との文学により、ブッダへの関心がインド人一般に身近になり拡大して、仏教徒の急速な増加を促したことは、疑う余地がありません。

 おそらくブッダ(釈迦仏)の前生譚から一歩踏み出して、別の名称をもった仏がたてられます。まず一代前の迦葉仏(かしょうぶつ)が生まれ、さらにその前生へと遡って、究極は、最古の毘婆尸仏(びばしぶつ)にいたる「過去七仏」が説かれます。この「七」の数は「リグ・ヴェーダ」の説く「七人の仙人」の影響があるともいわれ、あるいはまた第七仏(釈迦仏)をあらわすパーリ語のイシ・サッタマが「仙人の上首」(イシ・サト・タマ)と解釈される可能性を考慮されましょう。また迦葉仏より一代前、毘婆尸仏からは第五仏に当たるコーナーガマナ(拘那含:くなごん)仏の名称が、アショーカ王碑文に刻まれており、過去仏信仰の古さを証明しております。

 過去七仏を主題とした経が創られて、それらの漢訳の単経が何種類か知られ、またパーリ「長部」と漢訳「長阿含経」とに含まれる「大本経(だいほんぎょう:マハー・アパダーナ・スッタンタ)」は、大体はこの物語を説きます。なおこの七仏はすべて釈迦仏に集約してされるという特質が指摘することができます。

 やがては過去仏をいわば反転して未来仏が説かれるようになり、その仏はマイトレーヤ(弥勒)と呼ばれます。未来仏であるこの弥勒仏は、すでに入滅したブッダの前生と同じく、現在はトゥシタ(兜率:とそつ)天にあり、この地上には五十六億七千万年のちに下生(げしょう)するといわれています。それまでは仏の呼称(如来)とはならず、菩薩にとどまり、弥勒菩薩の名が相応しいです。

 現在仏から三世に拡大された仏は、その時間という観念をいわば横に倒して、空間的にも拡大投影され、東南西北の四方に仏がたてられて、それが現在多方仏となっていきます。この考えは部派の一部にやがて芽生え、とくに進歩的な大衆部は十方世界多仏を説くようになりました。こうして新たなる諸仏の出現は、ブッダを離れて、大乗諸仏、つまり大乗仏教の成立を導く重要なルーツの一つとなります。また保守的な上座部系はつねにブッダ(釈迦仏)の一仏の教えのみを厳守し、それは現在も南伝仏教において変わることはありません。*

*三枝充悳著 「仏教入門」
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