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仏教解説

24 仏教とはなにか -初期仏教- ⑤

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 お経は、初期仏教に関しても、種類も量も多く、経蔵(きょうぞう:スッタ・ピタカ)の語が一番合っています。それは弟子たちの口誦(くじゅ)によって各世代に伝来し、次第に広範囲に拡大します。それらは伝来を表すアーガマと呼ばれ、中国では阿含(あごん)と音写され、他方、パーリ語はニカーヤと称します。

 ブッダをふくむ初期仏教の教説を伝える貴重な資料は、このアーガマ文献のみに限られます。しかし同時に、数百年にわたる口伝(くでん)の間に、その伝誦は、増大や付加(増広:ぞうこう)、また削除や喪失(損耗)を受け、編集に類したこともおこなわれたと、この文献中に語られています。それらの現在形への固定は、中期仏教の部派仏教においてはじめて達成されました。

 つまり、アーガマ文献はブッダならびに初期仏教の教えを物語る唯一の経典群でありつつ、現存のそれらは原型そのままでは決してなく、かなりの変容を受けており、当然その資料の扱いには充分で精密な文献学的研究を経由する必要があります。(後代にできた大乗経典から初期仏教、つまりブッダの教説を探索することは、言うまでなく到底できない)

 アーガマ文献に関し、今日に伝わる最古の編集形態として、お経の形式に基づく九分割があって九分経(くぶきょう)と称し、おそらくのちに三種が追加されて十二分経と呼ぶ系譜もあります。この術語はでは、分は部と、経は教と変わる例もみられます。

 それを、サンスクリット語に漢訳を添えて示すと、⑴スートラ(契経:けいきょう)、⑵ゲーヤ(応頌:おうじゅ)、⑶ガーター(諷頌:ふうじゅ)、⑷ニダーナ(因縁)、⑸イティヴリッタカ(本事:ほんじ)、⑹ジャータカ(本生:ほんじょう)、⑺アドゥブタダルマ(未曾有)、⑻アヴァダーナ(譬喩:ひゆ)、⑼ウパデーシャ(論議)、⑽ウダーナ(自説:じせつ)、⑾ヴァイプリヤ(方広:ほうこう)、⑿ヴィヤーカラナ(授記:じゅき)が、十二分経であり、九分経はこれらのうち⑷と⑻と⑼とを除きます。これらは先述の名称のみが後代まで広く伝わるにすぎず、その実態は判然としません。

 その他、多々あるけれども、煩雑となりますので省略します。

 これらの諸資料のほかに、いわゆるシルクロードの各地などで発見・発掘される諸文献があり、仏教梵語によるものが多数あります。また一部にはチベット語訳やその他があります。

 初期経典は、⑴韻文つまり詩のみ、⑵韻文と散文、⑶散文のみの三種に分かれ、現存の学説では概ね韻文が古く、散文はあとで付加されたのであろうと、推定されています。

 出家者の集団である教団には律蔵があり、比丘・比丘尼の守るべき規則を集めたものを波羅提木叉(はらだいもくしゃ:戒経・戒本)と称し、この条文集は比較的早くまとめられました。のちにその規定の解釈をめぐって諸部派に分裂し、各部派ごとに律蔵を整備しました。つまり、上座部のパーリ律、漢訳には、法蔵部の四分律(しぶんりつ)、説一切有部(せついっさいうぶ)の十誦律(じゅうじゅりつ)、化地部(けじぶ)の五分律(ごぶんりつ)、大衆部(だいしゅぶ)の魔訶僧祇率(まかそうぎりつ)、根本説一有部律(こんぽんせついっさいうぶりつ)の五種が伝わっています。

 律の条項に付随して、その規定の所以が記録され、これを因縁譚(いんねんだん)と称して、経蔵のなかのブッダの回顧談とともに、やがて本生譚(ジャータカ)や仏伝また教団史などの資料となりました。

 仏伝つまりブッダの伝記は、当初はそれほどの関心を呼びませんでしたが、仏教の普及とともにその数も増加し、華麗に飾られて、広く流布しました。これらはむしろ文学作品として、中期仏教にかけて栄えます。*

*三枝充悳著 「仏教入門」
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