仏教解説

23 仏教とはなにか -初期仏教- ④

 ←22 仏教とはなにか -初期仏教- ③ →24 仏教とはなにか -初期仏教- ⑤
 最古の「リグ・ヴェーダ」に用いられたヴェーダ語に親近のサンスクリット語は、「高尚・完全・純粋で神聖な雅語」という意味があり、中国では梵語と呼びました。梵は、インド思想の中枢のブラフマンおよびインド神話における創造神のブラフマーの音写に由来します。サンスクリット語は紀元前四世紀の大文法学者パーニニによって完璧無比の文法書が作られ、以後インドの標準語として現在に及びます。十八世紀半ば以降サンスクリット語の学術研究がヨーロッパに栄え、ヨーロッパ語言語との比較研究が進められて、印欧語(インド・ヨーロッパ族)の発見・確定となりました。

 標準語のサンスクリット語に対し、俗語もしくは方言をプラークリット語といい、それにはマガダ語やパーリ語その他があります。またサンスクリット語から派生した別系のアパブランシャ語より、現在のヒンディー語やベンガリー語などが生まれました。インドにはこれらの他に、先住民の言語としてドラヴィダ語系などがあり、さらに外来のセム語系も用いられて、地域ごとに異なります。

 ブッダの活動範囲から推定して、ブッダと信奉者たちはマガダ語によったと類推されますが、マガダ語のみの文献は現存しません。北インド東部のマガダ語に対し、パーリ語は中部以西の俗語と考えられ、言語学上はピシャーチャ語の一種で、パーリは聖典を意味します。それはサンスクリット語に近く、俗語の崩れは比較的少ないです。

 おそらくブッダ入滅直後の最初の結集(けつじゅう:教団の集合会議)にはマガダ語が用いられ、それ以後に仏弟子の西方への布教によってパーリ語に移され、また別に、マガダ語からサンスクリット語に変えられたとみなされます。

 パーリ語文献はアショーカ王の時代にスリランカに伝えられ、その後東南アジア全域に広まり、以後二千数百年間も多少の変遷を受けながらもそのまま通用して、現在はいっそう栄えています。ただしその中の一部にマガダ語が混じり、かえって聖典を印象づけます。南伝仏教圏では、それぞれの言語が、スリランカのシンハリーズ語はインド系、ビルマ(ミャンマー)はチベット語系、タイは中国語系などと、まったく異なりますが、仏教用語のパーリ語使用は変わらず、逆に彼らの共通語とされています。

 戒めから律蔵(ヴィナヤ・ピタカ)への固定化と並んで、ブッダおよび最初期の教え(一部にその活動の記録も含む)は、経(スートラ、スッタ、スッタンタ)にまとめられ、それがその語の原意通りに縦糸(時代を貫いて変わらぬ真理)とされて、仏教思想を伝える資料の中核となります。金口(こんく)の説法(獅子吼:ししく)と称されるブッダ自身の言葉は、とうに隠れて不明ですが、それがマガダ語からパーリ語に、またはサンスクリット語に転じ、後者からは漢訳や一部にチベット語訳が生まれて、現代に伝えられます。*

*三枝充悳著 「仏教入門」
スポンサーサイト



もくじ  3kaku_s_L.png 日常
もくじ  3kaku_s_L.png 四国遍路
もくじ  3kaku_s_L.png 結衆
もくじ  3kaku_s_L.png 仏教
もくじ  3kaku_s_L.png 仏教解説
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png 巡礼
【22 仏教とはなにか -初期仏教- ③】へ  【24 仏教とはなにか -初期仏教- ⑤】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【22 仏教とはなにか -初期仏教- ③】へ
  • 【24 仏教とはなにか -初期仏教- ⑤】へ