仏教解説

17 仏教とはなにか -ブッダについて- ⑧

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 仏教教団では、本来は、女性の出家を認めていませんでした。これは、仏教ばかりではなく当時一般の宗教団体の習慣でした。都市以外では、警察力の行き届かない当時の社会事情では、山林に起居する出家生活は、事実上女性にとっては困難でした。(実際に被害の事例もあります)しかし、ブッダの父王が病気で亡くなられた後、継母のマハープラジャーパティ(マハーパジャーパティー)は髪を切って褐色衣(かつじきえ)を着け、ブッダに出家の許可を求めたのでした。はじめは中々許されませんでしたが、熱心さのあまり、アーナンダの取りなしにより、特別の条件付きで女性の出家が許されました。かつてシッダールタ太子の妃であったヤショーダラ妃をはじめ、多くのシャークヤ族の女性が揃って出家しました。これが尼僧の始まりでした。この時、ブッダは「男子に比して女子の数が多い家庭は賊におかされ易い」という例えを述べ「本来一千年伝わるべきであった正しい法は、女子の出家を許したことによって、僅か五百年しか保たれないことになった」と言ったと伝えられています。しかし、尼僧の中にも、徳行や知識において、きわめて優秀な者がいたことも記録され、中には男の僧が教えを受けた例もあります。

 このようにして、仏教の教団の内部を構成するものは、それぞれ別に居住する僧と尼とであり、その他、未成年者の見習いの少年少女は沙弥(しゃみ)と沙弥尼(しゃみに)とよばれました。彼らを一般の在家と区別するものは、頭髪を剃り、褐色衣を着け、托鉢用の器を手にするという外形のみではなく、戒律(生活基準)を厳守することにあります。戒律は僧、尼、沙弥、沙弥尼によってそれぞれ異なりますが、比較的簡単な沙弥、沙弥尼の十戒は次の通りです。

 一)生命を奪ってはいけない。
 二)与えられないものを取ってはいけない。
 三)淫らな行為をしてはいけない。
 四)うそをついてはいけない。
 五)あらゆる種類の酒を飲んではいけない。
 六)一定の時間(午前中)以外に食事をしてはいけない。
 七)歌舞、音曲、見世物などに近づいてはいけない。
 八)華鬘(けまん)をつけたり、香を用いたり、身を飾ったりしてはいけない。
 九)立派な床座を用いてはいけない。
 十)金銀を受取ってはいけない。

 これらの十戒の誓いを立てた沙弥が、成年に達して、一人前の比丘となる時は、二百五十戒を守らなければなりません。これらの戒律は、当時の社会において出家教団を維持するためにぜひとも必要でした。比丘は、専ら精神修養と教化のみを努めてすべきものであって、どんな意味でも生産には全く携わらなかったので、怠け者が教団に入り込むことも多く、また世間の批判を受け易かったので、教団自身の純粋さを保持するためにも、社会の信用を維持するためにも、戒律は教団の存亡にとって重要な意義を持っていたのです。

 仏教の教団は純然たる修養と教化の団体であるから、他の既成教団のように、冠婚葬祭等の宗教儀礼には一切関与しませんでした。したがって、行事は精神教化に関するもののみで、前述のような沙弥や比丘などのための入団式の他は、毎月定期の反省の集まり(布薩)、雨季における閉居(雨安居:うあんご)、雨季明けの批判会(自恣)等にすぎません。後進や在家のための説法が随時に行われたことは言うまでもありません。*


*渡辺照宏著 「仏教のあゆみ」
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