仏教解説
11 仏教とはなにか -ブッダについて- ③
輪廻ということについて言及していきます。私たちが今考察しようとする西暦前第六世紀には、輪廻思想はすでに一般に常識として承認されていました。少数の唯物論者は現世のみしか認めず、しかも感覚的事実だけしか実在と考えず前世や来世の思想を嘲笑していました。しかし、それ以外の人たちは、たとえ立場を異にしても、輪廻という事実を認めるという点では一致していました。
人々が特に恐れたのは、現世の死よりも来世から来世へと無限に連なる死の連続の問題でした。キリスト教を信ずる人々は来世における復活を乞い願っていましたが、インドの人々はむしろ来世における「再死」を恐れたのでした。インド思想はほとんどすべてこの点に関心を向けています。そこでインドの宗教思想は「如何にして再死を免れることができるか」という課題を中心に発達しました。仏教もその出発点においては同じことです。
宗教儀礼に関しては、古代インド・アーリヤ人が生活の安楽をはかり、子孫の繁栄を願うために、神々に奉仕していました。奉仕するために、神々の愛好するソーマ酒を醸(かも)し、動物の犠牲を捧げました。もちろん、こうした祭事は、その起源においては、神々との交歓を目的とし、敬虔(けいけん)の念を伴っていましたが、次第に形式化し、神と人との間の物々交換というような習慣に堕落してしまったのは仕方のないことでした。
こうした宗教儀礼の他に、インドでは昔から、もう一つ重要な宗教的行為がありました。それは神人融合を内観によって実現するという方法「リグヴェーダ」などの聖典は宇宙の声を「神仙」(リシ)が「観じた」ものであると言われています。その太古の神仙たちは宇宙の神秘に直参(じきさん)することができました。ところが、人の世が降るにしたがって、もはや神仙は存在しなくなりました。しかし、神仙と同じ方法を見出すことができるとすれば、私たちもまた、真理を直観することができるのではないでしょうか。神仙の認識を再現する方法として、古くから「ヨーガ」(瑜伽:ゆが・ゆぎゃ)を実践するものが多くいました。それは身体に落ち着きのある姿勢で、呼吸を統制し、精神統一によって高度の認識の実現を目指すものです。それは神秘直観と言われるべきものですが、このような精神力の高揚には、神秘的な奇跡が伴うものと一般に考えられています。つまり、ヨーガ行者は種々の不思議を行う能力があるものと信じられています。しかし仏教などでは、そのような実利を目的としてヨーガを修行することを固く禁じています。*
* 渡辺照宏著 「仏教のあゆみ」
人々が特に恐れたのは、現世の死よりも来世から来世へと無限に連なる死の連続の問題でした。キリスト教を信ずる人々は来世における復活を乞い願っていましたが、インドの人々はむしろ来世における「再死」を恐れたのでした。インド思想はほとんどすべてこの点に関心を向けています。そこでインドの宗教思想は「如何にして再死を免れることができるか」という課題を中心に発達しました。仏教もその出発点においては同じことです。
宗教儀礼に関しては、古代インド・アーリヤ人が生活の安楽をはかり、子孫の繁栄を願うために、神々に奉仕していました。奉仕するために、神々の愛好するソーマ酒を醸(かも)し、動物の犠牲を捧げました。もちろん、こうした祭事は、その起源においては、神々との交歓を目的とし、敬虔(けいけん)の念を伴っていましたが、次第に形式化し、神と人との間の物々交換というような習慣に堕落してしまったのは仕方のないことでした。
こうした宗教儀礼の他に、インドでは昔から、もう一つ重要な宗教的行為がありました。それは神人融合を内観によって実現するという方法「リグヴェーダ」などの聖典は宇宙の声を「神仙」(リシ)が「観じた」ものであると言われています。その太古の神仙たちは宇宙の神秘に直参(じきさん)することができました。ところが、人の世が降るにしたがって、もはや神仙は存在しなくなりました。しかし、神仙と同じ方法を見出すことができるとすれば、私たちもまた、真理を直観することができるのではないでしょうか。神仙の認識を再現する方法として、古くから「ヨーガ」(瑜伽:ゆが・ゆぎゃ)を実践するものが多くいました。それは身体に落ち着きのある姿勢で、呼吸を統制し、精神統一によって高度の認識の実現を目指すものです。それは神秘直観と言われるべきものですが、このような精神力の高揚には、神秘的な奇跡が伴うものと一般に考えられています。つまり、ヨーガ行者は種々の不思議を行う能力があるものと信じられています。しかし仏教などでは、そのような実利を目的としてヨーガを修行することを固く禁じています。*
* 渡辺照宏著 「仏教のあゆみ」
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