仏教解説

2 仏教とはなにか -仏教の語と歴史- ②

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 世界の著名な文明の一つであるインダス文明が終息に向かう頃、紀元前十三世紀末に、インド北西部からアリアン人(アーリア人)がパンジャーブ(五河)地方に数回にわたって侵入し、やがて定着しました。彼らはその神話を讃歌集として「リグ・ヴェーダ」を作り、続いて他の三つのヴェーダと諸注釈文献とが創られました。これらはいずれも天啓(シュルティ)にもとづくものだといいます。また他方では、徐々に司祭者のバラモン(婆羅門)を頂点とするいわゆるカースト制度(四姓:バラモン【司祭】・クシャトリヤ【王族・武人】・ヴァイシャ【一般市民】・シュードラ【奴隷】)が構築され、この階層区分はインド全史を貫いて、今日もなお根強く残っています。

 アリアン人は前七世紀頃にはガンジス河中流域のインド大平原に進出して、その生活が遊牧から農耕に転換し固定する中で、最初の哲学文献ともいうべきウパニシャッド(秘密の奥義・奥義書)の様々なテキストが生まれました。

 古ウパニシャドには、宇宙の根本原理としてのブラフマン(梵)が、また個人の主体である内在的原理であるアートマン(我)が立てられ、それらに関する教説が磨かれていくうちに、やがて両者の同一視が進められて、梵我一如(ぼんがいちにょ)という壮大な智慧を築き上げました。この原理は後代のインド哲学の主流となり、またヒンドゥ教を支えるものとなっています。やや遅れて、個人の現実の直視から、業(カルマ、カルマン)による輪廻(サンサーラ)の思想が古ウパニシャッドに芽生えると、それは急速に全インドに広まり、後には東南アジア全体までも支配するようになります。

 前六世紀以降に、インドの農耕社会は豊かな成熟を迎え、貨幣の普及と発展によって商工業が起こり、それが栄えて、たくさんの都市と群小国家とが誕生しました。このような新しい社会には、ヴェーダの宗教は一旦隠れ、バラモンも権威を失って、王族(クシャトリヤ)の勃興(ぼっこう:急激に勢力を得て盛んとなること)が顕著となり、自由で清新な思想家たちが活躍する。沙門(シュラマナ、サマナ)と呼ばれた彼らは、出家して世俗の一切を棄て去り、各々が自ら開拓した多彩な新思想に生き、解放されて新風のそよぐ社会の歓迎を受けました。

 それら新思想の数を、仏教は六十二、ジャイナ教(ジナ教)は三百六十三とし、それぞれの内容を伝えています。中でも有力な六人の名を、その教説の概要とともに、仏典はかなり詳しく記録しており、彼らを六師外道(ろくしげどう)と名付けています。それについて一言ずつ触れていけば、プーラナの道徳否定論、アジタの唯物論にもとづく快楽主義、パクダの七要素還元論(一種の唯物論)、ゴーサーラの唯物論の伴う宿命論、サンジャヤの懐疑論(鰻論)、そしてマハーヴィーラのジャイナ教です。

 ゴータマ・ブッダも、同時代のジャイナ教創始者であるマハーヴィーラ(偉大な英雄という意味、本名はヴァルダマーナ)も、この自由思想家に属し、仏教とジャイナ教とは、とりわけその最初期には、互いに関連し合い共通するところが多くあります。両者は、婆羅門教および、それの返信したヒンドゥ教以外の二大宗教として、インド人に多大な感化を与え続けました。

 また、ジャイナ教が仏教と異なる主要な点をあげれば、ジャイナ教は実践に徹底しておりました。例えば苦行を過度に評価し(この時代に苦行は最高の修行方法として讃えられていた)、また不殺生を固守して、全インドに普及させました。しかし、大乗仏教のような大きな変革は見られず、常にインド国内にとどまっていました。しかし、今日まで活発な経済活動を展開して、信徒数は二千一年(平成十三年)の調査では約四百五十万人を超え、少数ながらも絶大な金融資本を掌握しています。*


 では、これから仏教とはどのような宗教であったかを見ていきましょう。


* 三枝充悳著 「仏教入門」
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